―― 第四章 ① ――
昨日、ふと気づいた。
あの頃から、
ちょうど1年くらい経っていた。
子育てがしんどくて、
やっと仕事に戻れると思っていた頃。
円形脱毛症が見つかったのも、
同じ頃だった。
「このままじゃ復帰できない」
これからどうしていこうか。
どう分担していこうか。
夫と作戦を練っていた。
でも未来は、
正直あまり明るく見えていなかった。
子育てもうまくできている気がしなかったし、
仕事に戻って両立している自分も想像できなかった。
このままどうなるんだろう。
ぼんやりとした不安だけが、
ずっとあった。
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あのときの私は、
“元に戻ること”しか
考えていなかった。
仕事に戻れば、
きっと元の生活に戻れる。
前みたいに
ちゃんとやれるはずだ。
そう思わないと、
立っていられなかった。
どうやったら
元の生活に戻れるのか。
どうやったら
元の私に戻れるのか。
そればかり考えていた。
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パワフルな人を見ると、
劣等感が湧いた。
私も前はそうだったのに。
変わってしまった自分が
悔しくて、
泣いたこともあった。
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でも今、私は
退職して、
自分の経験を
言葉にしている。
私は戻らなかった。
違う道を選んで、
新しい私になった。
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あの出来事は、
崩れた証じゃなかった。
分岐点だった。
私は壊れた人じゃなかった。
転換期にいた人だった。
今なら、そう思える。
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あの頃の私へ。
大丈夫。
ちゃんと
明るい方向へ進んでいる。
そして私は今、
これから
どう働くのかを考えている。
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