―― 第三章 ③ ――
夫との関係を見つめ直しているうちに、
私はもうひとつのことに気づいた。
これは、
私の家庭だけの話じゃない。
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私はずっと、
子どもの頃に
親にちゃんと向き合ってもらえなかったのだと
思っていた。
でも、
私の親も、
そのまた親も、
“我慢”を美徳とする空気の中で
生きてきたのではないかと思った。
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長時間働くことが当たり前で、
弱音を吐かないことが強さだった時代。
感情よりも結果。
過程よりも成果。
それは
誰かひとりの問題だったのだろうか。
きっと違う。
その時代には、
その空気があった。
私は、
その空気の中で育った。
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だから無意識に、
「母なんだから仕方ない」
「弱音は甘え」
と、
自分にも同じ言葉を向けていたのだと思う。
これは、
時代の空気の中で
静かに続いてきた連鎖だったんだ。
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でも——
構造を理解したとき、
私は少しだけ
呼吸が深くなった。
誰かを責めなくていい。
自分だけが壊れているわけでもない。
そう思えたとき、
私は回復していると
はじめて実感した。
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それでも、
自分の気持ちを認めてもらえなかったこと。
いつも結果しか見てもらえなかったこと。
うまく出来なかったときに、
強く責められていたこと。
何度考えても、
やっぱり辛い。
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そして私はいつのまにか、
自分の価値は、
成果で決まるものだと
思い込んでいた。
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でも子育てをして気づいた。
結果よりも、
その過程にこそ意味があること。
自分ではダメだと思った日も、
本当はちゃんとやっていた日もあった。
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私はずっと、
結果でしか自分を評価できなかった。
でも今は、少し違う。
過程を見つめ直すことで、
私は少しずつ
自分を取り戻している。
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誰かを責めるためじゃない。
整理して、理解して、
ここから前に進んでいくために。
私は、
結果ではなく過程を大切にする空気を、
ここから少しずつ育てていきたい。
まずは、
私の家族の中から。
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