桃太郎が5人いる時代

保育園の劇で桃太郎が5人いるというニュースをきっかけに、時代の変化と子育てで育まれる力について考えたエッセイ 人生再設計

―― 第六章 ① ――

少し前に、

Yahooニュースで

ある話を見かけた。

保育園の劇で、

桃太郎が5人いるらしい。

思わず心の中で

突っ込んでしまった。

「いやいや、それは違うでしょ」

でもそのニュースは、

妙に印象に残っていた。

最近、

保育園の発表会があった。

うちの子は、

最後まできちんとやりきる

タイプではない。

途中でふざけたり、

集中力が切れたりする。

それはそれで、

まあそんなものかな

とも思っている。

先生たちも

誰も否定しない。

「緊張の中、とても頑張りました」

むしろ褒めてくれる。

でもそのとき、

ふと別のことが

気になった。

年少くらいの頃でも、

昔はみんな

最後まで踊ったりしていた

気がする。

少なくとも、

途中で脱走したり、

自由に動き回る子は

あまりいなかったような

気がする。

もちろん

記憶は曖昧だ。

でも、

なんとなく

そんな印象がある。

どうしてなんだろう。

もしかしたら昔は、

「最後までやる」

ということを

今より強く求められていたのかもしれない。

ある程度怒られたり、

注意されたりしながら、

やり切る経験を

積んでいたのかもしれない。

そんな話を、

久しぶりに会った

親友にしてみた。

すると親友が言った。

「でもさ、

その分、今は個性を

伸ばせるようになったんじゃない?」

たしかに…!

と思った。

自分にとって

すごく衝撃的な気づきだった。

昔は、

みんなが同じように

できることが

大事にされていた。

今は、

一人ひとり違っていい

という考え方が広がっている。

だから、

桃太郎が

5人いるのかもしれない。

誰も悲しまないように。

誰も負けないように。

それはきっと、

とても優しい考え方だ。

でも同時に、

思うこともある。

昔だったら、

桃太郎は1人だった。

やりたい子が複数いれば、

じゃんけんをしたり、

話し合ったりして、

誰がやるかを決めた。

できなかった子は、

別の役をやる。

その過程の中で、

悔しい気持ちや、

譲る経験や、

我慢する経験もあった。

そういう経験の中で

学べることも

きっと

たくさんあったと思う。

だから最初は、

今の子育てって

全部いい方向に

変わっているんだろうか?

と少し不安になった。

でも、

親友と話していて

気づいた。

失われたものも

あるかもしれない。

でもきっと、

新しく育っている力もある。

昔よりも、

自分らしさを

大事にできる時代になった。

それもきっと、

この時代の

いいところだ。

時代が変われば、

育つ力も変わる。

子育てって、

時代の影響を

とても強く受けるものなのかもしれない。

昔が正しいとか、

今が間違っているとか、

そういう話じゃない。

この時代の中で、

私は

子どもに

どんな力を育てたいのか。

それを考えながら

子育てをしていく。

そんなことを、

桃太郎が5人いるニュースを見て

ふと思った。

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