―― 第六章 ② ――
子育てで悩んだとき、
区の相談窓口や
色々な人に言われた言葉がある。
「比べなくていいんですよ」
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でも私は、
その言葉を聞くたびに
少しだけ
モヤモヤしていた。
私は別に、
他の子と比べて
優劣をつけて
落ち込んでいるわけじゃない。
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そもそも私は、
子どもが生まれてから
すぐに保育園に通わせていたわけでもないし、
その場ですぐ
悩みを共有できるママ友とかも
あまりいなかった。
だから
「周りと比べてしまう」
という状況が
あまりなかった。
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ただ、
「これでいいのかな」
という不安は
いつもあった。
子育ては初めてだし、
どこが普通で
どこが違うのかも
よく分からない。
だから私は、
インスタを見たりして
他の子の様子を
なんとなく見ていた。
自分の子と
比べていた部分も
たぶんあると思う。
でもそれは、
優劣をつけたいわけじゃなかった。
ただ、
自分の子育ての
立ち位置を知りたかっただけだった。
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このモヤモヤは、
子どもが生まれてから
ずっと続いていた気がする。
でも最近、
ふと気づいた。
私は
子どもと他の子を
比べていたんじゃない。
たぶん、
時代と比べていた。
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「昔はこうだったよな」
という自分の曖昧な記憶を
無意識に頼りにしていたり、
「子育てとはこうあるべき」
と、子育てをこれから初めてやるのに
なんとなくの型があった。
そんな感覚が
ずっと自分の中にあった。
例えば、
年少の子でも
発表会で最後まで踊っていた気がする。
昔はもっと
「みんな同じことをする」
空気があった。
うちの子は、集団行動が苦手なのかな?
と悩んだ事もあった。
でも今は、
子どもの個性を大切にする時代だ。
無理をさせない。
その子に合った関わり方をする。
それはとても
大切なことだと思う。
でも同時に、
私はどこかで
戸惑っていたのかもしれない。
自分が育ってきた時代と、
今の子育ての前提が
違っていたから。
今の時代は、
求めているものが違う。
そう気づけたとき、
私は少しだけ解放された気がした。
⸻
私は
他の子と比べて
悩んでいたわけじゃない。
ただ、
時代の変化の中で
戸惑っていただけだった。
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だから今は、
まずは
目の前のこの子と
ちゃんと向き合って
少しでも楽しい時間を
毎日過ごしていければいいのかな
と思っている。
比べなくていい。
その言葉の意味を、
私は
少しだけ違う形で
理解した気がしている。
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