―― 第七章 ③ ――
私は、
自分の人格ができたのは
わりと最近なんじゃないかと思っている。
そう話したら、
地元の親友に笑われた。
「え?昔からちゃんとしてたよ」
「普通に協調性あったよ」
私は思わず
「え、そうなの?」
と聞き返してしまった。
正直、意外だった。
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その2人とは、
私が地元に帰省するたびに会う。
中学からの友達と、
高校からの友達。
3人で丸一日集まって、
子育ての話や近況を
ひたすら話すのが恒例になっている。
その日も
そんな流れの中で
この話になった。
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でも私はずっと、
自分は
人付き合いがよく分からない人間だと
思っていた。
例えば中学の頃。
私は3年間バスケ部だった。
でも今振り返ると、
チームワークというものを
ちゃんと理解していなかったと思う。
自分が動くことで
スペースが生まれるとか、
仲間がそこに
切り込めるとか、
そういうことが
シンプルに分かっていなかった。
今思うと、
私は、
チームで動くという感覚を、
あまり分かっていなかったんだと思う。
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高校生の頃も、
友達とどう付き合えばいいのか
正直よく分かっていなかった。
それでも
友達には本当に恵まれていた。
高校生活は
すごく楽しかった。
特に
地元の親友2人は、
私に
友達付き合いを教えてくれた人たち
だと思っている。
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大学生のとき、
私は一人暮らしをしていた。
地方から出てきて
ホームシックになる子も多かった。
でも私は
寂しいと思ったことが
一度もなかった。
もちろん
友達がたくさんいたこともある。
でも今思えば、
あの頃の私は、
はじめて
自分の感覚で生き始めていたのかもしれない。
大学生活も
本当に楽しくて充実していた。
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社会人になって、
人付き合いの大切さを
やっと理解した気がする。
それまでは、
人と関わることの意味を
ちゃんと分かっていなかった。
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そして
母になってから。
私は
自分の感情が
やっと分かるようになった。
自分の考えを
言葉にできるようになった。
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だから私は、
自分の人格は
最近できた気がする
と
思っていた。
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でも親友たちは言った。
「昔からちゃんとしてました」
「普通に協調性ありました」
私は驚いた。
私はずっと、
自分は
ちゃんとできていない人間だと
思っていたからだ。
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そういえば、
小学校から高校まで
ずっと一緒だった男友達がいる。
小学校は、各学年1クラスしかない
小さな学校だったから、
6年間同じクラスだった。
5年間通っていた塾も
同じだった。
今は東京で美容師をしていて、
私はその美容室に通っていた。
会話をしているとき、
ふと
思ったことがある。
この人の中にいる「私」と
今の私は
少し違う気がする。
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最初は
今の私は
そんなんじゃないのに
なんて、
少し悔しいような
そんな気持ちになった。
そして思った。
人格って
いつできるんだろう。
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幼少期に
ほとんど決まる
という話も聞く。
確かに
子どもの頃は、
親の価値観や
それぞれの家庭の空気の中で
生きている。
だから、
それが
本当の自分なのかどうか
分からないまま
大人になることも
あるのかもしれない。
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私はずっと、
本当の自分が何なのか
分からなかった。
だから、
人格は最近できた気がする
と
思っていたのかもしれない。
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でも今は
少しだけこう思っている。
もしかすると私は、
人格ができたわけじゃなくて、
やっと
自分を理解できるようになった
だけなのかもしれない。
昔の私は、
自分のことが
よく分かっていなかった。
今は少しだけ、
自分がどんな人間なのか
分かるようになってきた。
だから私は今、
やっと
普通に生きている気がする。
そして最近、
もう一つ思うことがある。
私は、意外と
考えることが好きな人間だった。
そしてきっと、
こうやって、
自分や人のことを考えながら
生きていくんだと思う。
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