―― 第五章 ⑥ ――
今日、
子どもたちと3人で
保育園から家に帰ってきた。
玄関で、
下の子が
靴を並べていた。
上の子の靴と、
自分の靴と、長靴と、
大人の靴。
向きは逆だったり、
位置も少しずれている。
でも、
一生懸命並べているのが
分かる。
最近下の子は、
靴を上手に揃えられるようになった。
私はそれを横で
可愛いな。
と思いながら見ていた。
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少しして、
夫が仕事から帰ってきた。
玄関に入るなり、
「疲れたー!
もうちょっと仕事するわー!」
と言って、
そのまま自分の部屋に入っていった。
靴のことには
特に触れなかった。
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あれ?
そういえば
何も言わなかったな。
と後々思った。
下の子が並べたんだろうなとか、
このちょっと不思議な並び方とか可愛いじゃん、って。
でも夫は、
多分そこを
見ていなかった。
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そのとき、ふと思った。
やっぱり、
見ている景色が
違うのかもしれない。
私は、
子どもたちの小さい変化とか、
生活の中の細かい出来事とか、
そういうものを
つい観察してしまう。
でも夫は、
そこを
あまり見ていない。
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育休中、
夫と子育てのことで
ぶつかることが多かった。
そのとき私は、
「なんで分からないの?」
といつも思っていた。
毎日子どもを見ている私には
当たり前に見えていることが、
夫には
見えていない気がしていた。
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でもあるとき、
もしかしてこれは
性格とかの問題じゃなくて、
もっと
生物学的な違いなのかもしれない
と思った。
見ているものとか、
反応するポイントとかが、
そもそも
違うのかもしれない。
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もしそうだとしたら、
全部を分かり合おうとするのは
無理なのかもしれない。
でも、
それは
誰が悪いという話でも
ない気がする。
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同じ家に住んでいて、
同じ玄関を通っているのに、
見ている景色は
少し違う。
全部は分かり合えないのかもしれないけれど、
お互いの違いも尊重して
受け入れながら
それでも一緒に生活していく。
たぶんそれが、
夫婦なんだと思っている。
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